日記
あ、ゆきだ、とわかるまで少しの間たちどまりました。あさはやく、中目黒から下北沢まで歩く途中。しろい埃が灰色の空から。ドンキホーテで買った焼き芋。最近観た映画のなかに、好きな人のこと、付き合わないまま嫌いになれないでしょう、という台詞があった。ドンキホーテの120円の焼き芋をたべたとき、その台詞を感じた。ずっとずっとほしかった。たべてみたかった。その時が来て、ひとくち食べる。わるくない。わるくはないけど、あ、もういいかな、って。空想は空想のままだと永遠に空想でしかない。
緑色のソファベッドでもういちどねた。
うどんを茹でて卵をのせてたべた。ふたりぶん。ふたつ結びしておだんごするのにはまっている。お父さんのチェック柄のフリースを羽織って、大判のピンクのマフラーを巻くとさむくない。雪国の小学生みたいなきぶんになれる。
吉祥寺で映画を観た。群像劇。
ひとの数だけの日常。
好きとか嫌いとか
死ぬとか生きるとか
秘密とか秘密じゃないとか
嘘とか本当とか
退屈とか退屈じゃないとか
善いとか悪いとか
ひとつじゃないって。日常はひとの数あるよって。
ぜったいにぜったいに単純なんかじゃなくて、複雑で繊細でまどろっこしいじれったさ。そんな感情。そんなに落ち込むこともないなあって。
退屈な日々にさようならを。今泉力哉監督。
映画を観たあとの喫茶店は、特に特別な素敵な気持ちになるからだいすき。ホットココア。すきな匂い。